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ボルマン本で登場する失敗ブレイクからのトレード(tff)の基本的性質とトレード戦略

トレード手法

 失敗ブレイクからのトレードという言葉は、ボルマン本(FX5分足スキャルピング)で登場する用語です。

 意味はそのままで、「あるブレイクが失敗に終わったあとに仕掛けるトレード」のことです。

 ボルマン本に限らず、ブルックス本(プライスアクショントレード入門)やその他解説書、WEBサイトでも似たようなトレード手法(「ダマシを利用したトレード」というように表現されていることが多い)が紹介されていることからも、失敗ブレイクからのトレードは非常に有用なトレード手法であることが分かります。

 失敗ブレイクからのトレードが有用な理由はシンプルで、そうでない普通のトレードよりも高い勝率が期待できるからです。

 失敗ブレイクからのトレードの考え方を知っておくだけで、勝率の低いブレイクに仕掛けることは減少することでしょう。

 当記事では、まずは失敗ブレイクからのトレードとはどのようなトレードなのか、定義から順に追って説明しています。

 そして中盤以降は具体的なトレードパターンについて解説します(実例については準備中)。

 本記事は、ボルマン本(FX5分足スキャルピング)やブルックス本(プライスアクショントレード入門)の内容から得たものに対する、FXプライスアクション研究所独自の解釈が含まれています。
 ボブ・ボルマン氏、アル・ブルックス氏ら本人による分析、トレード手法を学びたい方は、書籍をご確認ください。
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「失敗ブレイクからのトレード」(tff)の定義と特徴

 失敗ブレイクからのトレードとは具体的にどのようなものか、そしてなぜ失敗ブレイクからのトレードという概念が存在するのか定義を確認して、その特徴を見ていきたいと思います。

 失敗ブレイクからのトレードのことを、ボルマンさんはチャート上に「tff」と記していますが、tffはFX5分足スキャルピングの原書であるUnderstanding Price Actionの目次(Chapter 7.)を読む限り、”Trading Breaks for Failure“の略のようです(Bはどこに……?)。

失敗ブレイクからのトレードの定義

 ボルマン本(FX5分足スキャルピング)の第7章(トレードを見送るときと、失敗ブレイクからのトレード)より、失敗ブレイクからのトレードは以下のように定義されています:

 すべてのダマシのブレイクアウトが自動的に反対方向にトレードする条件を備えているわけではないことは分かっているが、だからこそその条件をはっきりとさせておかなければならない。
 すべてがそろった有望なセットアップは、すぐにフォロースルーがあるかもしれないからだ。

 このようにカウンターブレイクでポジションを建てることを、失敗ブレイクからのトレードと呼ぶことにする。

ボブ・ボルマン著 井田京子 訳、「FX5分足スキャルピング」(Pan Rolling)第7章より、p.210

 上記の定義からわかることは、ブレイクアウトの失敗は有望なセットアップになりうるということです。

 ではなぜ有望なセットアップになるのでしょうか?

各種トレードパターンを高勝率に導く

 最初のブレイクで仕掛けたトレーダーは、ポジションが目標値に達する前に反転し失敗に終わると追い込まれ、カウンターブレイクが入る前後で損切りを余儀なくされます

 上図では、下降トレンドにおいてブルフラッグをブレイクし、ブル派の一部が仕掛けたところを示しています(仕掛けの優劣はともかく)。

 このブルフラッグのブレイクが失敗に終わると(下図)、ブル派は利確することができないまま含み損を抱え、追い込まれることになります。

 その後、ベア派にとって都合の良い仕掛けパターン(例:プルバックの反転)が生じると、ベア派は一斉に仕掛け、相場が下落します。

 これ以上の含み損を抱えるわけにはいかないので、ブル派は売り戻し(=損切り)を強いられます

 損切りとカウンターブレイクのトレードが重なると、一方にダブルの圧力が生じることになるため、カウンター側(ベア派)にとってより有利にトレードを進めることができます。

 そのため、最初のブレイクが決まったかのように見えて失敗に終わった後のカウンターブレイクは、本来のブレイクよりも高い勝率が期待できます

 失敗ブレイクからのトレードという概念は、トレードが失敗に終わった人の行動が基本的に一定である(損切りせざるを得ない)からこそ存在するといえます。

失敗ブレイクからのトレードは順張り、逆張り両方ある

 上記の定義の冒頭にある「すべてのダマシのブレイク」は、逆張りに限定されたものではなく、順張りも含まれます。

 よって「カウンターブレイク」は、順張りのブレイクがダマシになった時は逆張り方向、逆張り方向へのブレイクがダマシになったとき順張り方向を指します。

 そのため、失敗ブレイクからのトレードは順張りの仕掛けだけでなく、逆張りの仕掛けも存在することになります。

 しかしながら、基本的に推奨される失敗ブレイクからのトレードの方向は、当然ながら順張りです。

 逆張りは逆張りであるがゆえに、カウンターブレイク時の仕掛けに乗るトレーダーが順張りのそれと比べて少なく失敗ブレイクからのトレードの成功率が順張りより低くなってしまうからです(下図)。

 もちろん、失敗ブレイクからの逆張りトレードは仕掛けてはいけない、というわけではありません。

 ただ、順張りも逆張りも両方仕掛けようとすると難易度が高くなるため、どちらか一方に絞ったほうがいいと考えます(順張りを推奨)。

 失敗ブレイクからのトレードが失敗に終わるのは、ブルックス本でたまに出る「ダマシのダマシ」のセットアップとなり、結局順張り側にチャンスが移ります

ダマシのダマシについて

 ブルックス本を読んでいると、ダマシの足の逆方向の動きもまたダマシになる、いわゆる「ダマシのダマシ」について記述されている箇所がいくつか見受けられます。

 ボルマン的記述に直すと、「失敗ブレイクからのトレードが失敗ブレイクとなった状態」という感じでしょうか。

 なお、ダマシのダマシ(Failed Failure)の意味は、ブルックス本の用語集にも記載されています:

ダマシや失敗がダマシになって最初にブレイクした方向に再び進むこと。2回目のシグナルになるため、信頼できる

アル・ブルックス著, 井田京子 訳 「プライスアクショントレード入門」(Pan Rolling)用語集より、p.572

 「ダマシのダマシ」の構図の典型例といえるのが、パターンブレイクプルバックです。

 上図のように、ブルフラッグをブレイクしたもののダマシに終わり下落、その下落が直近安値やブレイクしたブルフラッグ付近で反発し、最終的に上昇していくパターンは、ダマシのダマシの説明と合致します。

失敗ブレイクからのトレードとトレードパターンとの融合例

 失敗ブレイクからのトレードの典型パターンを、別記事にて紹介しているボルマン本のトレードパターンと示し合わせて説明します。

失敗ブレイクからのパターンブレイク

 失敗ブレイクからのパターンブレイクとして最も考えられるパターンは、上図のようにパターンブレイクの直前に、ブレイクの逆方向へ相場が推移するパターンです。

 フラッグ期間におけるトレンドライン近辺でのショートは、より短い時間足で見たら順張りのショートに見えて、仕掛ける余地があるのかも知れません(スキャルパーはそうして利益を得ているのかもしれない)。

 しかし、大きい流れは上方向であるため、一部のベア派の積極的な仕掛け量を上回るブル派の仕掛けが入り、パターンブレイクが決まる……という典型的なケースです。

 最近では、この「失敗ブレイク」の値動きを起こしているのは、できるだけ安値で買いたいブル派の機関投資家なのではないかという憶測もあります(要検証だが、検証不可能)。

仕掛けるタイミング

 失敗ブレイクからのトレードとして仕掛ける場合、意識するポイントは、ブル派の多くが仕掛ける(もしくは仕掛けている)と同時に失敗ブレイクで仕掛けてしまったベア派が降りるタイミングで仕掛けることです。

 上図の場合、失敗ブレイクで仕掛けたベア派の最後の逃げ場は、大陰線(ベア派の仕掛け足)の高値の更新時(候補1)と考えるのが妥当です。

 高値更新と同時に多くのベア派は買い戻すか、その足の少し上に設定した逆指値に到達したら切れるように設定するのが常識的なトレードです。

 そのため、失敗ブレイクからのトレードの仕掛けは、ベア派の仕掛け足の高値更新時となります。

 単にパターンブレイクで仕掛ける場合は、ベア派の損切りタイミングより少し下のレート(候補2)で仕掛けることになります(ブレイクポイントがベア派の仕掛け足よりも少し低いため)。

 約定値はより良い条件になりますが、この場合、ベア派の多くはギリギリではありますがまだポジションが生き残っているため、ダブルの圧力が得られる前で仕掛けることになります。

逆指値(ストップ)の設定場所をどうするか

 上記の仕掛けに対して考えられる逆指値の設定場所は、以下の2点です:

 まず最初に考えられるのは、ダマシの安値の下です。

 約定レートから遠い分勝率は上がりますが、(損切り時に失う資産を一定にしている場合)ロット数が小さくなるため、リワードが悪化する点がデメリットです。

 ある程度長い期間ポジションをスイングしようと考えている場合だと、この設定でも悪くないと思いますが、スキャルピングのつもりで仕掛けるのであれば少し遠すぎると考えます。

 次に考えられるのは、仕掛け足の1本前の足(シグナル足)の安値の下です。

 ブル派の多くはこの足かトレンドラインをブレイクした足のどちらかで仕掛けていることが考えられるため、失敗ブレイクからのトレードが失敗に終わるといえるタイミングは、シグナル足の安値を下抜けたところと考えるのが妥当です(ここで概ね降りて、ベア派がショートを仕掛ける)。

 ダマシの安値の下に置くよりも勝率は落ちますが、ストップが約定レートに近い分ロットを多く張ることができ、成功時のリワードは大きくなります

失敗ブレイクからのプルバックの反転

 下図は、下降トレンドにおける失敗ブレイクからのプルバックの反転の仕掛けの例を示しています:

 下降トレンド中に起きたプルバックに対し、積極的なブル派が足1や足2でトレンドのブレイクを目論んで仕掛けたもののダマシとなり、逆に足3でプルバックの反転のトレード機会が発生しています。

 上図の例で特に注目したいのは足2です。

 足2が寄り付いてからブル派が仕掛けたことが上ヒゲから分かりますが、この足が引けるまでに反転し、最終的に陰線で引けていることから、(特に)足2で仕掛けたブル派の大半は、利確できずに追い込まれていることが想像できます。

 足3が足2の安値を下回ったところで仕掛ければプルバックの反転の仕掛けパターンとなり(上図のパターンであれば、ここでの仕掛けもそれなりの勝率が期待できる)、足1の安値を下回ったところで仕掛ければ失敗ブレイクからのトレードといえます(足1の安値を下回ったところでブル派の大半が降りると考えられるため)。

 仕掛けに対して、損切りの候補は大きく3箇所あります(下図)。遠ざければ遠ざけるほど勝率は上がりますが、その分リワード(レシオ)が下がるため自身の感覚や性格に合わせて設定することをお勧めします。

 プルバックの反転の仕掛けの成功率を上げるには、上図のような逆方向への仕掛けが失敗に終わった展開が確認できた上で仕掛けることが重要です。

プルバックの反転か、パターンブレイクか

 失敗ブレイクからのプルバックの反転は、見方によっては失敗ブレイクからのパターンブレイクの構図と似ています。

 正直なところ、パターンブレイクなのかプルバックの反転なのかはどうでもよく、初動のブレイクが失敗に終わった後に何らかのカウンタートレードができるセットアップがあるかないかだけが問題です。

失敗ブレイクからのパターンブレイクプルバック

 パターンブレイクプルバックは、パターンブレイクのところを無視すれば、プルバックの反転のパターンとほぼ似ています(下図右)。

 プルバックが一度ブレイクしたトレンドラインを再度ブレイクし返し、それが失敗に終わって失敗ブレイクからのトレードへ流れるのがパターンブレイクプルバックです。

 プルバックの反転も、概ねミクロトレンドラインを事前にブレイクしたあとに生じるプルバックの反転であるため、パターンブレイクプルバックの仕掛けの大半はプルバックの反転の一部であるという理屈が成り立ちます(あとはトレンドラインの規模の違い程度)。

 そのため、失敗ブレイクからのプルバックの反転パターンを理解すれば、失敗ブレイクからのパターンブレイクプルバックの仕掛けも理解したと同義で捉えていただいて問題ないと考えます。

失敗ブレイクに仕掛けないための方法論

 毎回毎回失敗ブレイクからのトレードを仕掛ける側でありたいですが、場合によっては失敗ブレイク(ティーズブレイク)に加担してしまうこともあります。

 そのような失敗を減らすためにはどうすればいいか、4つの具体的な対策について紹介します。

逆張り側で仕掛けない、常に順張りのセットアップを待つ

 常にトレンド方向に仕掛けることを意識することで、逆張り方向のブレイクに仕掛けることを防ぐことができ、失敗ブレイクに仕掛ける確率を下げることができます。

 順張りのブレイクがダマシになって損切りに達することは回避できませんが、その仕掛けが何らかの根拠で仕掛けるに値するから仕掛けたのであれば、それがダマシになるのは仕方がないと考えます。

 順張り方向のブレイクが失敗に終わったあとは、失敗ブレイクからの逆張りは避け、「ダマシのダマシ」の展開が来たらまた仕掛けます

EMAが示す方向に逆らわない

 順張りの方向が分かりづらいという場合、トレンドの方向をEMAで探ることができます。

 ボルマン本では25EMA、ブルックス本では20EMAが利用されており、仕掛けるタイミングを探るだけでなく、直近のトレンドも知ることができます。

 上昇トレンドだとEMAは左から右にかけて右肩上がりに上昇しています。下降トレンドだと逆です。

 トレーディングレンジの場合は、画面の中央辺りを行ったり来たりしています。

 トレンドが弱いとブレイクが失敗に終わりやすいため、トレードを避けることで失敗ブレイクに仕掛ける確率を落とすことができます。

トレンドが弱い相場は見送る

 ブレイクアウト手法はある程度のトレンドが伴っていて成立する手法であるため、トレーディングレンジにおけるブレイクの仕掛けはダマシになりやすく、勝率が下がる要因になります。

 できるだけトレンドが弱い相場においては初動のブレイクは見逃して、ブレイクが失敗になったと判断できるタイミングでカウンタートレードを仕掛けるか、ハナから見送るという選択が有効です。

「失敗ブレイク」が確認できるまで仕掛けない

 失敗ブレイクに引っかからないためのベストな方法は、失敗ブレイクが確認できるまで仕掛けないという方法です。

 初動は全てダマシになることを前提として観察し、ダマシになったところで仕掛けます。初動のブレイクが成功した場合は見送る……という考え方です。

 勝率の改善が期待できますが、このアイデアの問題点は、多くのリワードが得られたであろうブレイクアウトトレードの機会を逃すことにもなる点です。

 また、失敗ブレイクからのトレードが失敗する可能性もあるため、この方法をもってしても失敗ブレイクを100%回避することはできない、という問題もあります。

失敗ブレイクからのトレードの実例

 ここまではパターンを説明するために仮のチャートを使って説明してきましたが、ここでは実際のチャートを使って失敗ブレイクからのトレードが生じたと考えられる実例を見ていきたいと思います。

実例1:チャネル上限での上昇失敗後の売り(GBPJPY 1時間足)

2019/2/26~3/7 GBPJPY 1時間足(H1)、ブローカー:FXTF

上図ポイント部分拡大(スマホユーザー向け)

 下降チャネルの形成が確認できる中で、チャネル上限(トレンドライン)でブレイク……と思いきや、失敗に終わった後の足4での仕掛けです。

 足3は直近の高値である足2を更新し、さらにトレンドラインもブレイクしているようにも見えるため、このまま上昇しそうにも見えますがブル派の大半の同意が得られず、もしくはベア派の反攻に合い失敗に終わっていることがヒゲから確認できます。

 1本前(足3)の安値を下回ったところで仕掛け(おそらく寄り付いてからわりとすぐと思われる)、逆指値は足1か足3の高値の少し上あたりに設定します。

仕掛けのイメージ

 仕掛け足は最終的には下ヒゲの長い陽線で引けたため、失敗かと思いきや最終的にはうまくいきました。

2019/2/28~3/12 GBPJPY 1時間足(H1)、ブローカー:FXTF

 仕掛けのあとは、ものすごい下落のあとにものすごい上昇が生じました。

 利確ポイントについては諸説考えられますが、最初の理想の利確ポイントは足5の3本前の足です(あくまで「理想」)。

 上の画像ではトレンドチャネルラインを当初より少し下にずらしているので、足5の3本前の足の安値がチャネルラインに到達してないように見えますが、一番最初のチャート画像で引いてあるチャネルラインは到達しています。

 チャネルラインへの到達を確認後に半分利食いして、残りは引っ張ります(逆指値を建値に置けばとりあえず勝ちは確定)。

 2つ目の利確候補は足5で、1本前の足の高値を上抜いた場面です。一応この足5がブレイク後からの高値2の足のため、1回目の利食い箇所としては一応妥当と考えます。

 もし足5の3本前の足で利確できていれば、ここはスルーでもいいかと考えます(もしくは25%利確)。

 ただ4時間足レベルで考えると、この戻しがワンレッグ目の下落に対する高値1的な足と想像できます。もうワンレッグ下落しても不思議ではないと考えられるため全利確はせず、ポジションは半分か4分の1は残したいところです。

 そして、残したポジションは、足Aを基準として新たに引き直したチャネルラインの到達時(足6)で利確できれば理想です。

 この後、チャネルラインをブレイクし、それまで推移していたチャネルの幅と同じくらいの値幅分の下落が生じました(足7で到達)。最初の利確を50%、2回目の利確を25%としていれば、このさらなる下落も拾えたかもしれませんが、そこも狙うのかは自身のトレードプランと相談してというところです(サイクルなども考慮すると狙えるのかもしれないが……)。

 足7までの下落を想定してガッツリ抜いたあとに、逆張りで上昇分も抜いてしまうような人が超一流のトレーダーなのかもしれませんが、私にはムリですね(笑)

実例2:高値更新の失敗ブレイク後の売り(EURUSD 4時間足)

2018/3 EURUSD 4時間足(H4)、ヒストリカルデータ:デューカスコピー・ジャパン(FT3)

上図ポイント部分拡大(スマホユーザー向け)

 2つ目の実例は、EURUSD 4時間足での失敗ブレイクからのトレードです。

 足6足1、足2の高値更新後に大きく反転しています。長い上ヒゲにはブル派が追い込まれた様子が伺えます。

 単に高値更新での失敗ではエントリーの根拠として乏しいですが、本例での仕掛けは大きく分けて3つの根拠があります。

  • 足1足2の高値の更新がダマシの高値になったこと
  • 足3足4を元に引けるトレンドラインと平行なチャネルラインに到達してから反発していること
  • 足5で一度足1, 2の高値を更新しており(その時も反転)、足6の高値更新は2回目の失敗であること(足5に対するダマシの高値でもある)

 仕掛けは足6が1本前の安値を下回った時が最有力です。足5の安値の下でもいいかもしれません(ほとんど同じ)。

 逆指値は足6の高値の上に置きます(約40pips)。

 この仕掛けの難しいところは、足6が高値を記録した時点では全く仕掛けの余地が感じられないところです。

 高値を記録していた時点では下図のように見えるため、まさか足6が仕掛け足になるとは下図の時点では思いもよらないだろうと考えられます。

※足6が最高値を記録したときのイメージ、このあと急落することになる

 油断していたら足6がとっくに引けており仕掛け損ねる……ということは大いにありそうです。

 足5足1、足2の高値を上抜いたあと反発して引けた時点でセットアップが始まりつつあることを意識して、逐一観察しておかないと仕掛けられないでしょう。

 あと、足5だけでは売りを仕掛けるセットアップとしては少し弱いと考えます。もし、足5の次の足から調整の下落が始まったとしたら見送ることになります(2回目の失敗&失敗の規模が足6は大きい)。

2018/3 EURUSD 4時間足(H4)、ヒストリカルデータ:デューカスコピー・ジャパン(FT3)

 足6以降足7でトレンドラインもブレイクし、大きく下落しました。

 一回目の利確ポイントとして考えられるのは足8で、トレンドラインブレイク後の高値2の足に該当します。

 以降明確な利確根拠として挙げられる足は少なく、直近安値到達の足9近辺などが候補です。足8、足9で半々ずつ利確ができれば、平均でRR比5.5の良いトレードとなります。

 また、相場サイクルを考慮して、ほんの一部だけ建値決済覚悟で引っ張るという考え方もできたかもしれません。

 2017年1月の長期サイクルスタート想定以降中期サイクルレベルの押しがまだなく、1000pipsレベルの下落がいつ始まってもおかしくないという環境認識ができていればの話ですが……。

2018/3~6 EURUSD 4時間足(H4)、ヒストリカルデータ:デューカスコピー・ジャパン(FT3)

EURUSD 週足(W1)、MT4:FXTF(デモ口座)

 EURUSDに関しては、今回のような「ダマシの高値(安値)→急反転」のパターンは多く見受けられます(他の通貨ペアは未検証)。ヒゲの長い足が数本のブランクを経て2本出ているようなパターンは要チェックです。

実例3:高値2の失敗(GBPJPY 5分足)

2019/5/24 GBPJPY 5分足(H4)、使用ツール:Forex Tester 4、ヒストリカルデータ:デューカスコピー・ジャパン

上図ポイント部分拡大(スマホユーザー向け)

 上昇スイング後の調整における、高値2からの再上昇失敗後の下落です。調整は足1から始まっています。足2~5までの展開はバーブワイヤーともいえ、足4の上抜け失敗が、足5以降の急落を生んだとも言えそうですが、ここでは足3の高値2でのプルバックの反転が失敗したことによるトレードと捉えて見ていきたいと思います。

 足2が高値1、足3が高値2の足です。足3をプルバックの反転で買うには根拠が薄く、そのまま上昇してしまったら仕方がないと考えます。最悪買ってしまった場合、足5で損切りとなります(つい買いたくなりそうな足ではある)。

 その後上昇せずいわゆるバーブワイヤーを形成しつつある段階で、「上抜け失敗→下抜けで売り」を意識します。足4は過去数本の高値を一時期的に上回った足で、ここで買いを仕掛けたブル派はそれなりにいたと考えられます。

 足4が引けたときには上抜けがダマシと解釈できそうな上ヒゲが形成されており、陽線ではありますが、売りのシグナル足としては十分な足と考えます。足5足3の安値を下回ったところで仕掛け、逆指値は足4の高値の少し上に置きます。

 この例ではトリプルゼロがすぐ下にあるのがややネックに見えますが、少し前にトリプルゼロでの攻防が一度なされており、トリプルゼロ近辺に厚めの各種注文は少ないと考えられます。そのため、それほど強くトリプルゼロを意識する必要はないかと考えます。

 また、足1から始まった調整は、「調整」と言うには強いプルバックのため、この前提が足5での売りの成功に関わっているとも考えられます。

 利確に関しては各々のルールによるところですが、相場上から導き出すとすれば、例えば足6の安値近辺は、足1~3の下落幅と足3~6からの下落幅がほぼ同じという根拠(=E波動達成)で利確の根拠になりますし、足7は直近安値に到達しているため、利確の根拠として使えると考えます。

 仕掛けたタイミングが水平ラインより上側に見えますが、これはForex Testerの検証中の再生速度の関係によるもので、「抜けた」と思った瞬間に一時停止したところがラインの少し上のところだったというだけの問題です(ティックの変換:ボリューム、送り速度:Every Tickの最速で再生しています)
 本来の仕掛けタイミングはライン(足3の安値)を下回ったタイミングで仕掛けます。

Man
随時実例を追加予定しています。

さいごに

 完成されたチャートから、プルバックの反転やパターンブレイクの仕掛けが成功したであろう足を細かく観察してみると、シグナル足やその前の足が仕掛ける方向の逆側に噴射した痕が度々見受けられると思います。

 もし、今までそれらを単にプルバックの反転、パターンブレイクと整理していたのであればもう一度見直してみて、失敗ブレイクからのトレードパターンがなかったか確認してみることをお勧めします。

 そうすると、より理想的な仕掛けタイミングが特定できたり、過去に見送りと判断した足が仕掛け足になりうると判断できるようになるかもしれません。

 仕掛け足が見つけられるようになったら、今度は動きの中でそれらを認識できるか検証を行う必要があります。

 ブローカーに資産を投じてリアルタイムチャートで検証するのは絶対ダメとは言いませんが、私はお勧めしません。

 5分足トレードですら、1日に1回ないしは数回あるかどうかというトレードチャンス待つのは非常に効率が悪いですし、気がつけばどうでもいい足で仕掛けていたり……と逆にスキルの悪化を招きかねないと考えているからです。

 より最短で効率よくスキルをアップするために、Forex Testerなどの検証ソフトを用いてトレーニングを行うのが最善です。

 Forex Testerを使えば、1時間の間に10回でも20回でも仕掛ける練習ができるため(しかも同じパターンを何回も練習できる)、より効率的に上達が図れます。

 リアルタイムチャートだけでトレーニングしてだいぶん上達したが、気がつけば後期高齢者になっていた……なんてオチにならないよう、私は検証ソフトでの検証を推奨します。

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