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ブルックス本的、ボルマン本的利確手法と逆指値を動かすタイミングについて

トレード手法

 トレードというと仕掛けるタイミングに注目がいきがちですが、仕掛けた後に

  • いつ利食う(ポジションを決済するか)
  • いつストップを動かす(建値、直近高値・安値へのトレール的移動)

という2点についても前々から考えておく(決めておく)ことが重要です。

 本記事ではこれらの問題点について、ブルックス(本)的・ボルマン(本)的な考えを含めた候補案を紹介します。

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決済に対する基本的な考え方

 手法云々について考える前に、そもそもなぜそのポジションを手仕舞うのかという理由について考えたいと思います。

理由1:仕掛けた方向に対してこれ以上の伸びが期待できないから

 何らかのシグナルによって仕掛けたポジションが、これ以上含み益が膨らむと思えないからポジションを手仕舞う、という考え方です。

 相場からトレンドが失われてレンジ相場に移ったと判断できる場合や、マグネット効果が発揮されていると考えられるレートに到達した場合などがこのタイプに相当します。

 再びトレンドが発生し、ポジションが更に含み益を得る可能性も想定できる場合は、決済はポジションの一部に留める手も考えられます。

理由2:仕掛けた方向に対して反転が予想できる展開が生じたから

 反転を予感させる反転足や反転パターンの出現、過去の経験上レートが大きく変動する指標発表を目前に控えているからポジションを手仕舞うという考え方です。

 この場合、ポジションは全部か半分以上(8割~9割)手仕舞うのが基本路線です。

 理由1と比べると緊急性が高く、特にスキャルピング寄りのトレードスタイルの場合、手仕舞うかどうかを考えるだけの余地が少ないため、高い経験値が求められます。

 経験が少ないと、まだ足が形成中なのに弱気の反転足ができると勇み足で判断して手仕舞い、足が引けてみたらヒゲのない長大陽線だった……なんていうことをやらかすことが想像できます。

理由3:しばらくの間、相場に参加できない環境に身を置くから

 この理由は、相場要因というよりトレーダー自身の都合による決済です。

 インターネットが使えない、1時間ほど車を運転する……というような場合、理想的なタイミングで決済できないし急な反転に対応できないから前もって決済を行うという考え方です。

 決済は行わず、逆指値だけ直近の高値や安値に置いておくという手法も考えられます。

 スイングトレードならそれほどこの問題に遭遇することはないかと思いますが(宵越しのポジションを普通に持つため)、スキャル寄りのデイトレ(30分~1時間以内でポジションを手仕舞うような手法)の場合は、往々にして起こりうるシチュエーションです。

理由4:あらかじめ想定していた指値/逆指値に到達したから

 これは決済「する」というよりは、決済「される」理由です。

 一番起こりうるパターンとして、仕掛けたものの一度も想定方向に進まず逆指値に到達した場合が挙げられます。

 利確にしろ損切にしろ、自分で決めたレートに到達次第勝手に決済してくれるため、本決済理由は精神的には非常に楽ではあります。


おおむね考えられる「決済する理由」は上記の4種類だと考えます。

ここからは具体的な決済タイミングについて考えたいと思います。

ブルックス(本)的手法

 ブルックス本で多く記載されているポジションの利確、逆指値の設定手法について考えたいと思います。

 ブルックス的手法は別にどの時間足でも応用できますが、主に記載されているチャートやトレード内容は基本的に5分足によるスキャルピングです(銘柄はFXでなくEミニと呼ばれる株価指数先物)。

 ブルックス的手法で最も特徴的に感じるのが、逆指値の修正ルールです。

仕掛け直後:逆指値のみ設定

 ブルックス的手法は、次の節であるように途中で部分利確を行うのですが、基本的に1注文に対し一部ロットを利確する指値注文ができるところは少ないので、逆指値のみを設定します。

 LION FX(ヒロセ通商)を始め、1つのポジションの一部ロットを利確する指値注文を行えるブローカーは一応ありますが。ちなみにMT4ではできません(指値注文=全ロット利確)。

 逆指値は基本的にシグナル足の安値の少し下(ショートなら高値の少し上)に設定するのが基本線です。

 すぐ上に直近安値や高値がある場合は、それを超える位置に置いたほうが勝率が改善される可能性がありますが、リワードは落ちます。

最初の利確:仕掛け足から数本以内(成行)

 1回目の利確は基本的に早く、5分足の場合、仕掛け足の引けか次の足あたりでポジションの一部を利食いします。

 想定していた位置までポジションが伸びたら全体の半分以下を利確し、残したポジションはスイングします。

 思ったほどの伸びがなかった場合はポジションは半分利確し、以下の逆指値設定を行います。

逆指値の移動例1:仕掛け足から少し離れた位置に移動

 仕掛け足が引けて、新しい足が寄り付いたときに、ストップをシグナル足の少し離れた位置から仕掛け足の少し離れた位置に移動させます。

 基本的には近づくことになるかと思いますが、仕掛け足がシグナル足も兼ねているような場合はそのままということになります。

 ブルックス的トレード手法からすると、この新たに置き直した「仕掛け足から少し離れた位置」が、逆側(図だとブル派)にとっての仕掛けポイントになりうるためだと考えられます。

逆指値の移動例2:トントンになる位置に移動

 想定通りの値動きが序盤で進まなかった場合、ポジションの一部を利食いしたあと、残りのポジションは逆指値に到達したらトントン(プラスマイナスゼロ)になる位置に移動させます。

 上の図のように、当初10pipsの逆指値を設定して途中でポジションの半分を5pipsで利確した場合、残りの半分のポジションは建値から5pips離れたところに再設定します。

 これで少なくともこのポジションで負けることはなくなるため、精神的に楽に残りのポジションをスイングさせることができます(ただしスリッページが生じたらマイナスになりうるので注意)。

ボルマン(本)的手法

 ボルマン的手法のメリットは、仕掛けた後は最悪チャートを見なくても良いので精神的に楽というところにあります。

 利益を最大化しようと思ったら、仕掛けた後もチャートを注視する必要がありますが、基本的には仕掛けた後に設定した指値か逆指値に到達するまではノータッチというのがボルマン的手法です。

 ボルマン本で有名な本の1冊が「FX5分足スキャルピング」ですが、「スキャルピング」というタイトルの割に全然スキャルしてない点は要注意です(十分デイトレに属するトレード時間)。
※原書のタイトルにはスキャルピングを意味する文字列は一切入ってない(原書タイトルは”Understanding Price Action: Practical Analysis of the 5-Minute Time Frame”で直訳すると「プライスアクションの理解:5分足の実践的分析」)

仕掛け直後:OCO注文を実施

 ボルマン的手法は、仕掛けと同時に指値、逆指値をどちらも設定するOCO注文を行います。

 そのため、基本的には仕掛けたらあとは想定通り行くことを願って見守る(もしくは別の通貨ペアに移って仕掛けチャンスを探す)ことになります。

 実例として、EURUSD(ユーロドル)5分足で仕掛ける場合、指値20pips/逆指値10pipsのRR比(リスクリワード比)2.0の値幅を紹介しています(スプレッドを含めるか含めないかは各自要検討)。

 RR比2.0のため、ロット数を固定している場合1勝2敗(勝率.333)でトントン、勝率.333を超えるとプラス(例:2勝3敗ペース)、勝率.333を切るとマイナスとなります(例:3勝7敗ペース)。

途中での利確:原則しない(場合によってはする)

 ボルマン的手法は、基本的に仕掛けたら利確されるか損切に達するまでポジションを手動で手仕舞いません。

 そのため、仕掛け手法自体が「想定している利確幅まで達する可能性が高い場合」のみトレードを行います。(EURUSDの場合)RR比2.0のトレードをひたすら行い、20pipsの利確を手にするか、10pipsの損切に達するかのどちらかが起こり続けることになります。

 ブルックス的手法は、最終的にどこまで伸びるかについては深く考えることなくても仕掛けることが可能ですが(もちろんどこまで伸びそうか想定できていたほうが理想的)、ボルマン的手法は先の展開(≒指値までは到達しそうであること)まである程度見通した上で仕掛ける必要があります。

 ただし、あまりにも明確に反転すると判断できそうな場合、見届けずに決済を行います。

※途中で利確を行う根拠例
  • 逆方向に仕掛けたくなるようなシグナル足と仕掛け足が出現した
  • 通常なら利確に達するくらいの時間経過があるにも関わらず利確に至っていない(≒優位性が失われている可能性が高い)

 ボルマン的手法で途中での利確を採用するリスクは、途中で利確することに慣れてしまって最後まで引っ張ることをしなくなる(できなくなる)ことです。

 2:1(20pips : 10pips)の仕掛けをしているにも関わらず、毎回のように10pipsあたりで利確するのが癖になると、1勝1敗でもトントンになったり、最悪マイナスになったりする恐れがあります。

 そのため、ボルマン的手法を全面的に採用すると決めたら、緊急時を除いて途中で決済することはしないほうが最終的に利益を積み上げられる可能性が高いと考えます。

途中での建値へのストップ移動:しない

 ボルマン的手法は、含み益がいくらか乗ったからといって途中で逆指値を建値に置き直したり、トントンで決済することを推奨していません。

 その理由として、その方法を取る場合と取らない場合で比較すると、最終的には後者のほうが収支がプラスになるからと考えられているためです。

 またボルマン本では以下のような記述があります。ボルマンさんは(本手法における)トントンでの手仕舞いを「破壊的な行動」と揶揄しています:

 なぜ、トレーダーはこのような破壊的な行動(注:トントンで手仕舞うこと)を取るのだろうか。(中略)

 降参する前に、有効なトレードをトントンで手仕舞って20ピップスの利益を逃すことは、10ピップスの損切に2回遭うのと同じことだということを思い出してほしい。エゴはもちろんこれを嫌うはずだ。

 ここでのポイントは、介入作戦の目的が利食う事であって、損失を減らすためではないということにある。

ボブ・ボルマン著 井田京子 訳、「FX5分足スキャルピング」(Pan Rolling)第6章 手動による手仕舞いより、p.180

その他の手法

 その他考えられる利確手法について取り上げてました。

手法1:キリの良いレートでの利確

 いわゆるマグネット効果を生じさせていると考えられるトリプルゼロや50レベルで利確する考え方です。

 トレードの時間単位や通貨ペアによっては、キリの良い数字での利確が案外王道ルールになるかもしれません。

手法2:トレール注文

 トレール注文は、レートの上昇(下落)に合わせてストップを自動で上昇(下落)させる注文方法です。

 「一時的にマーケットから離れるが、できるだけポジションを引っ張りたい」という場合に有利な注文方法です。

 デメリットとして、必ずある程度の反転が生じてから利確することになるため、手動での利確よりも理想的な利確タイミングが遅れる点が挙げられます。

手法3:時間による利確

 「約定してから◯分後に決済する」という利確ルールを設定する方法です。

 具体的な応用方法が今ひとつ浮かびませんが、時間単位による理想的な利確タイミングが掴めているのであれば効果的な手法です。

手法4:時刻による利確

 「◯時◯分に決済する」という利確ルールを設定する方法です。

 仲値の確定時刻(9:55)や、ロンドンフィックス(24:00)、他重要な指標発表の数分前などが挙げられます。

まとめ:仕掛け手法と同じくらい利確ルールの徹底も重要

 仕掛けてから逆指値を近づけなければ損切や建値決済になる可能性は下がりますが、その反面損切時の被害は最大となります。

 一方、仕掛けてから逆指値を近づけると損切の際のダメージを抑えることができますが、反面損切に遭う確率が上がり、うまくいったかもしれないチャンス逃す可能性もあります。

 利確ルールだけでもこれだけ多種に渡る方法があることがわかります。言ってしまえばトレーダーの数だけ利確ルール(逆指値修正ルール)があるといっても過言ではありません。

 自身の仕掛けのルールやトレードの時間単位によって、適切な利確ルールを設けることをオススメします。


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コメント

  1. 初心者トレーダー より:

    すみません、初歩的な質問なんですが、ブルックス本にあるファイナルフラッグとはどういう意味なんでしょうか?
    最後のフラッグなのか、iiフラッグのことなのか、いまいち分かりません。

    また、高安値1234の解釈は、ブルックスさんもだいたいで示しているのでしょうか?
    そんなに厳密に、この足は高値2であの足は安値2だと定義づける必要はないのでしょうか?

    • MC より:

      > 初心者トレーダーさん
      こんばんは~

      ファイナルフラッグに関しては私もそんなに自信はないのですが
      (そのため当サイトで一度も出現してないはずです^^;)、
      おそらく前者の「最後のフラッグ」(≒トレンドが転換するきっかけになったフラッグ
      (ブレイクの失敗))という解釈で問題ないと思います。

      > 高安値1234の解釈
      本を読む限り、基本的にはほぼ全てで定義どおりの付け方をしていると思います。
      要は、上昇トレンド時で1本前の安値を下回った足を「安値◯」とカウントしています。

      時折「安値を下回ったものの速攻反転した足」が見受けられると思いますが、そのような場合
      「定義上はこの足が安値2だけどノーカウントとすれば、数本後の明確に安値を下回った陰線は定義上安値3だけど、実質安値2だな」
      という感じでスルーするときがあります(私はですが)。

      ブルックス氏も本の中で稀にですが同じようなカウントの仕方をしているのを確認しました。

      「厳密に定義づける必要性」についてですが、
      (私にとって)定義付けの目的の1つが「ツーレッグの検出」なので、
      「安値2(高値2)の足を確認≒ツーレッグが完成した」と考えるためにカウントしています。

      安値1や高値1が、ある程度の調整のレッグとして展開した(ある程度下げたor上げた)場合、
      安値2と高値2の出現時に「ツーレッグが形成されて調整が始まった」と解釈できるであろう展開になっていることが多いです
      (絶対そうというわけではないです、ダマシになる可能性もあるので…)。

      ただ、「ツーレッグの完成=安値2や高値2」と完全に決まっているわけではないので、
      先程のような「実質安値◯」のようなあやふやなカウントを時折行っている……というのが実情です。

  2. 初心者トレーダー より:

    プライスアクショントレード入門からの質問です。

    75ページの2つ目の段落の「足6は短い反転足で、2回目の空売りチャンスだった。」とありますが、この場合、足6の足が確定してから売りを仕掛けるということですか?

    また、79ページの「チャンスは陰線の包み足である足10で強気の反転が失敗になったときに訪れた。」とありますが、この場合もやはり足10の足が確定してから仕掛けるのか、または、強気の反転が失敗になって足9の安値を下抜けたところで早めに仕掛けるのか、どちらでしょうか?

    あと、たまに図に図示してある番号の説明がない場合がありますが、それは私たちでその足の意味を考えてほしいというアルブルックスさんの意図なんでしょうか?

    • MC より:

      > 初心者トレーダーさん

      久しぶりに第一章を読み直してみて、スッと読めたので「知識が深まってきたかも」と思えました^^;
      ご質問の内容について回答しますね。

      > 足6の足が確定してから売りを仕掛けるということですか?
      足6が確定して、「次の足が足6の安値を下回った時に売る」…という内容だと思います。
      足2から見てツーレッグ、足5から見てもツーレッグの終点に見えるというようなことも書いているので、
      「つまり足6はシグナル足として機能する(可能性が高い)」というのが
      ブルックス氏の言わんとしていることと考えられます。

      > 足10の足が確定してから仕掛けるのか、または、強気の反転が失敗になって足9の安値を下抜けたところで早めに仕掛けるのか

      この場合は後者(安値下抜け)だと思います。
      ただ、前提として「下抜け時に上ヒゲが既に形成されていること」が条件です。

      図は5分足なので1分足を見ないとわかりませんが、
      足10はおそらくまず上昇して高値を付けてから反転して
      足9の安値を更新したと考えられます。

      足10が陽線だった時に買ったブル波が、利確できぬまま含み損を抱え、足9の安値下抜けで
      損切するであろうタイミングで売りを仕掛ける……というのが、包み足で仕掛ける基本戦略といえます。

      実際足10は高値1なので、足8からの調整で買うにはやや早すぎる感がある&
      ツーレッグ目の調整が入る可能性が高いことを考慮すると、
      売りを仕掛ける余地はある(買いが失敗する可能性が高い)のかなと思います。

      ただ、本の内容はあくまでスキャルピング目線であるため、仕掛けから足1~2本で
      利確すること前提での仕掛けだと思ってます(なにせ調整のツーレッグにおける仕掛けなので…)。

      チャートが4時間足とかなら数時間はポジションを持つことになるのですが、本は5分足なので、
      足10での仕掛けは数分以内でポジションの大半を利食いするようなトレードスタイルだと思います。

      今回のパターンは足10からの下落が非常に顕著に出ていますが、
      デイトレ目線だと調整が終わって新たに推進(上昇)が始まったところで仕掛けるのが本筋だと思います。

      ※私の主観で初心者トレーダーさんに間違った観念を植え付けるのは機会損失になりかねないので
      あくまで最終的な結論は自身で行っていただければと思います。
      時折検証中に似たようなパターンに遭遇して「これ仕掛けられる!」と思って仕掛けたくなるのですが、
      あまりにスキャル的なトレードで感覚が狂うので見送ることが多いです^^;

      > たまに図に図示してある番号の説明がない場合がありますが、それは私たちでその足の意味を考えてほしいというアルブルックスさんの意図なんでしょうか?

      これは私の想像ですが、別のページで同じチャート図を掲載しているときがあるため(図番は違う)、
      「説明内容によっては番号の足の説明をしたりしなかったりする」……というだけだと思っています。

      以上、参考になりましたら幸いです。

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