失敗ブレイクからのトレード(tff)の基本的性質とトレード戦略

失敗ブレイクからのトレードという言葉は、ボルマン本(FX5分足スキャルピング)で登場する用語です。

意味はそのままで、「あるブレイクが失敗に終わったあとに仕掛けるトレード」のことです。

ボルマン本に限らず、ブルックス本(プライスアクショントレード入門)やその他解説書、WEBサイトでも似たようなトレード手法(「ダマシを利用したトレード」というように表現されていることが多い)が紹介されていることからも、失敗ブレイクからのトレードは非常に有用なトレード手法であることが分かります。

失敗ブレイクからのトレードが有用な理由はシンプルで、そうでない普通のトレードよりも高い勝率が期待できるからです。

失敗ブレイクからのトレードの考え方を知っておくだけで、勝率の低いブレイクに仕掛けることは減少することでしょう。

当記事では、まずは失敗ブレイクからのトレードとはどのようなトレードなのか、定義から順に追って説明しています。

そして中盤以降は具体的なトレードパターンについて解説します(実例については準備中)。

 本記事は、ボルマン本(FX5分足スキャルピング)やブルックス本(プライスアクショントレード入門)の内容から得たものに対する、FXプライスアクション研究所独自の解釈が含まれています。
 ボブ・ボルマン氏、アル・ブルックス氏ら本人による分析、トレード手法を学びたい方は、書籍をご確認ください。
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「失敗ブレイクからのトレード」(tff)の定義と特徴

失敗ブレイクからのトレードとは具体的にどのようなものか、そしてなぜ失敗ブレイクからのトレードという概念が存在するのか、定義を確認し、その特徴を見ていきたいと思います。

失敗ブレイクからのトレードのことを、ボルマンさんはチャート上に「tff」と記していますが、tffはFX5分足スキャルピングの原書であるUnderstanding Price Actionの目次を読む限り、”Trading Breaks for Failure“の略のようです(Bはどこに……?)。

失敗ブレイクからのトレードの定義

ボルマン本(FX5分足スキャルピング)の第7章(トレードを見送るときと、失敗ブレイクからのトレード)より、失敗ブレイクからのトレードは以下のように定義されています:

 すべてのダマシのブレイクアウトが自動的に反対方向にトレードする条件を備えているわけではないことは分かっているが、だからこそその条件をはっきりとさせておかなければならない。
 すべてがそろった有望なセットアップは、すぐにフォロースルーがあるかもしれないからだ。

 このようにカウンターブレイクでポジションを建てることを、失敗ブレイクからのトレードと呼ぶことにする。

ボブ・ボルマン著 井田京子 訳、「FX5分足スキャルピング」(Pan Rolling)第7章より、p.210

上記の定義からわかることは、ブレイクアウトの失敗は有望なセットアップになりうるということです。

ではなぜ有望なセットアップになるのでしょうか?

各種トレードパターンを高勝率に導く

最初のブレイクで仕掛けたトレーダーは、ポジションが目標値に達する前に反転し失敗に終わると追い込まれ、カウンターブレイクが入る前後で損切りを余儀なくされます

上図では、下降トレンドにおいてブルフラッグをブレイクし、ブル派の一部が仕掛けたところを示しています(仕掛けの優劣はともかく)。

このブルフラッグのブレイクが失敗に終わると(下図)、ブル派は利確することができないまま含み損を抱え、追い込まれることになります。

その後、ベア派にとって都合の良い仕掛けパターン(例:プルバックの反転)が生じると、ベア派は一斉に仕掛け、相場が下落します。

これ以上の含み損を抱えるわけにはいかないので、ブル派は売り戻し(=損切り)を強いられます

損切りとカウンターブレイクのトレードが重なると、一方にダブルの圧力が生じることになるため、カウンター側(ベア派)にとってより有利にトレードを進めることができます。

そのため、最初のブレイクが決まったかのように見えて失敗に終わった後のカウンターブレイクは、本来のブレイクよりも高い勝率が期待できます

失敗ブレイクからのトレードという概念は、トレードが失敗に終わった人の行動が基本的に一定である(損切りせざるを得ない)からこそ存在するといえます。

失敗ブレイクからのトレードは順張り、逆張り両方ある

上記の定義の冒頭にある「すべてのダマシのブレイク」は、逆張りに限定されたものではなく、順張りも含まれます。

よって「カウンターブレイク」は、順張りのブレイクがダマシになった時は逆張り方向、逆張り方向へのブレイクがダマシになったとき順張り方向を指します。

そのため、失敗ブレイクからのトレードは順張りの仕掛けだけでなく、逆張りの仕掛けも存在することになります。

しかしながら、基本的に推奨される失敗ブレイクからのトレードの方向は、当然ながら順張りです。

逆張りは逆張りであるがゆえに、カウンターブレイク時の仕掛けに乗るトレーダーが順張りのそれと比べて少なく失敗ブレイクからのトレードの成功率が順張りより低くなってしまうからです(下図)。

もちろん、失敗ブレイクからの逆張りトレードは仕掛けてはいけない、というわけではありません。

ただ、順張りも逆張りも両方仕掛けようとすると難易度が高くなるため、どちらか一方に絞ったほうがいいと考えます(順張りを推奨)。

失敗ブレイクからのトレードが失敗に終わるのは、ブルックス本でたまに出る「ダマシのダマシ」のセットアップとなり、結局順張り側にチャンスが移ります

ダマシのダマシについて

ブルックス本を読んでいると、ダマシの足の逆方向の動きもまたダマシになる、いわゆる「ダマシのダマシ」について記述されている箇所がいくつか見受けられます。

ボルマン的記述に直すと、「失敗ブレイクからのトレードが失敗ブレイクとなった状態」という感じでしょうか。

なお、ダマシのダマシ(Failed Failure)の意味は、ブルックス本の用語集にも記載されています:

ダマシや失敗がダマシになって最初にブレイクした方向に再び進むこと。2回目のシグナルになるため、信頼できる

アル・ブルックス著, 井田京子 訳 「プライスアクショントレード入門」(Pan Rolling)用語集より、p.572

「ダマシのダマシ」の構図の典型例といえるのが、パターンブレイクプルバックです。

上図のように、ブルフラッグをブレイクしたもののダマシに終わり下落、その下落が直近安値やブレイクしたブルフラッグ付近で反発し、最終的に上昇していくパターンは、ダマシのダマシの説明と合致します。

失敗ブレイクからのトレードとトレードパターンとの融合例

失敗ブレイクからのトレードの典型パターンを、別記事にて紹介しているボルマン本のトレードパターンと示し合わせて説明します。

失敗ブレイクからのパターンブレイク

失敗ブレイクからのパターンブレイクとして最も考えられるパターンは、上図のようにパターンブレイクの直前に、ブレイクの逆方向へ相場が推移するパターンです。

フラッグ期間におけるトレンドライン近辺でのショートは、より短い時間足で見たら順張りのショートに見えて、仕掛ける余地があるのかも知れません(スキャルパーはそうして利益を得ているのかもしれない)。

しかし、大きい流れは上方向であるため、一部のベア派の積極的な仕掛け量を上回るブル派の仕掛けが入り、パターンブレイクが決まる……という典型的なケースです。

最近では、この「失敗ブレイク」の値動きを起こしているのは、できるだけ安値で買いたいブル派の機関投資家なのではないかという憶測もあります(要検証だが、検証不可能)。

仕掛けるタイミング

失敗ブレイクからのトレードとして仕掛ける場合、意識するポイントは、ブル派の多くが仕掛ける(もしくは仕掛けている)と同時に失敗ブレイクで仕掛けてしまったベア派が降りるタイミングで仕掛けることです。

上図の場合、失敗ブレイクで仕掛けたベア派の最後の逃げ場は、大陰線(ベア派の仕掛け足)の高値の更新時(候補1)と考えるのが妥当です。

高値更新と同時に多くのベア派は買い戻すか、その足の少し上に設定した逆指値に到達したら切れるように設定するのが常識的なトレードです。

そのため、失敗ブレイクからのトレードの仕掛けは、ベア派の仕掛け足の高値更新時となります。

単にパターンブレイクで仕掛ける場合は、ベア派の損切りタイミングより少し下のレート(候補2)で仕掛けることになります(ブレイクポイントがベア派の仕掛け足よりも少し低いため)。

約定値はより良い条件になりますが、この場合、ベア派の多くはギリギリではありますがまだポジションが生き残っているため、ダブルの圧力が得られる前で仕掛けることになります。

逆指値(ストップ)の設定場所をどうするか

上記の仕掛けに対して考えられる逆指値の設定場所は、以下の2点です:

まず最初に考えられるのは、ダマシの安値の下です。

約定レートから遠い分勝率は上がりますが、(損切り時に失う資産を一定にしている場合)ロット数が小さくなるため、リワードが悪化する点がデメリットです。

ある程度長い期間ポジションをスイングしようと考えている場合だと、この設定でも悪くないと思いますが、スキャルピングのつもりで仕掛けるのであれば少し遠すぎると考えます。

次に考えられるのは、仕掛け足の1本前の足(シグナル足)の安値の下です。

ブル派の多くはこの足かトレンドラインをブレイクした足のどちらかで仕掛けていることが考えられるため、失敗ブレイクからのトレードが失敗に終わるといえるタイミングは、シグナル足の安値を下抜けたところと考えるのが妥当です(ここで概ね降りて、ベア派がショートを仕掛ける)。

ダマシの安値の下に置くよりも勝率は落ちますが、ストップが約定レートに近い分ロットを多く張ることができ、成功時のリワードは大きくなります

失敗ブレイクからのプルバックの反転

下図は、下降トレンドにおける失敗ブレイクからのプルバックの反転の仕掛けの例を示しています:

下降トレンド中に起きたプルバックに対し、積極的なブル派が足1や足2でトレンドのブレイクを目論んで仕掛けたもののダマシとなり、逆に足3でプルバックの反転のトレード機会が発生しています。

上図の例で特に注目したいのは足2です。

足2が寄り付いてからブル派が仕掛けたことが上ヒゲから分かりますが、この足が引けるまでに反転し、最終的に陰線で引けていることから、(特に)足2で仕掛けたブル派の大半は、利確できずに追い込まれていることが想像できます。

足3が足2の安値を下回ったところで仕掛ければプルバックの反転の仕掛けパターンとなり(上図のパターンであれば、ここでの仕掛けもそれなりの勝率が期待できる)、足1の安値を下回ったところで仕掛ければ失敗ブレイクからのトレードといえます(足1の安値を下回ったところでブル派の大半が降りると考えられるため)。

仕掛けに対して、損切りの候補は大きく3箇所あります(下図)。遠ざければ遠ざけるほど勝率は上がりますが、その分リワード(レシオ)が下がるため自身の感覚や性格に合わせて設定することをお勧めします。

プルバックの反転の仕掛けの成功率を上げるには、上図のような逆方向への仕掛けが失敗に終わった展開が確認できた上で仕掛けることが重要です。

プルバックの反転か、パターンブレイクか

失敗ブレイクからのプルバックの反転は、見方によっては失敗ブレイクからのパターンブレイクの構図と似ています。

正直なところ、パターンブレイクなのかプルバックの反転なのかはどうでもよく、初動のブレイクが失敗に終わった後に何らかのカウンタートレードができるセットアップがあるかないかだけが問題です。

失敗ブレイクからのパターンブレイクプルバック

パターンブレイクプルバックは、パターンブレイクのところを無視すれば、プルバックの反転のパターンとほぼ似ています(下図右)。

プルバックが一度ブレイクしたトレンドラインを再度ブレイクし返し、それが失敗に終わって失敗ブレイクからのトレードへ流れるのがパターンブレイクプルバックです。

プルバックの反転も、概ねミクロトレンドラインを事前にブレイクしたあとに生じるプルバックの反転であるため、パターンブレイクプルバックの仕掛けの大半はプルバックの反転の一部であるという理屈が成り立ちます(あとはトレンドラインの規模の違い程度)。

そのため、失敗ブレイクからのプルバックの反転パターンを理解すれば、失敗ブレイクからのパターンブレイクプルバックの仕掛けも理解したと同義で捉えていただいて問題ないと考えます。

失敗ブレイクに仕掛けないための方法論

毎回毎回失敗ブレイクからのトレードを仕掛ける側でありたいですが、場合によっては失敗ブレイク(ティーズブレイク)に加担してしまうこともあります。

そのような失敗を減らすためにはどうすればいいか、4つの具体的な対策について紹介します。

逆張り側で仕掛けない、常に順張りのセットアップを待つ

常にトレンド方向に仕掛けることを意識することで、逆張り方向のブレイクに仕掛けることを防ぐことができ、失敗ブレイクに仕掛ける確率を下げることができます。

順張りのブレイクがダマシになって損切りに達することは回避できませんが、その仕掛けが何らかの根拠で仕掛けるに値するから仕掛けたのであれば、それがダマシになるのは仕方がないと考えます。

順張り方向のブレイクが失敗に終わったあとは、失敗ブレイクからの逆張りは避け、「ダマシのダマシ」の展開が来たらまた仕掛けます

EMAが示す方向に逆らわない

順張りの方向が分かりづらいという場合、トレンドの方向をEMAで探ることができます。

ボルマン本では25EMA、ブルックス本では20EMAが利用されており、仕掛けるタイミングを探るだけでなく、直近のトレンドも知ることができます。

上昇トレンドだとEMAは左から右にかけて右肩上がりに上昇しています。下降トレンドだと逆です。

トレーディングレンジの場合は、画面の中央辺りを行ったり来たりしています。

トレンドが弱いとブレイクが失敗に終わりやすいため、トレードを避けることで失敗ブレイクに仕掛ける確率を落とすことができます。

トレンドが弱い相場は見送る

ブレイクアウト手法はある程度のトレンドが伴っていて成立する手法であるため、トレーディングレンジにおけるブレイクの仕掛けはダマシになりやすく、勝率が下がる要因になります。

できるだけトレンドが弱い相場においては初動のブレイクは見逃して、ブレイクが失敗になったと判断できるタイミングでカウンタートレードを仕掛けるか、ハナから見送るという選択が有効です。

「失敗ブレイク」が確認できるまで仕掛けない

失敗ブレイクに引っかからないためのベストな方法は、失敗ブレイクが確認できるまで仕掛けないという方法です。

初動は全てダマシになることを前提として観察し、ダマシになったところで仕掛けます。初動のブレイクが成功した場合は見送る……という考え方です。

勝率の改善が期待できますが、このアイデアの問題点は、多くのリワードが得られたであろうブレイクアウトトレードの機会を逃すことにもなる点です。

また、失敗ブレイクからのトレードが失敗する可能性もあるため、この方法をもってしても失敗ブレイクを100%回避することはできない、という問題もあります。

失敗ブレイクからのトレードの実例

ここまではパターンを説明するために仮のチャートを使って説明してきましたが、ここでは実際のチャートを使って失敗ブレイクからのトレードが生じたと考えられる実例を見ていきたいと思います。

Man
現在厳選中です。しばらくお待ち下さい……

さいごに

完成されたチャートから、プルバックの反転やパターンブレイクの仕掛けが成功したであろう足を細かく観察してみると、シグナル足やその前の足が仕掛ける方向の逆側に噴射した痕が度々見受けられると思います。

もし、今までそれらを単にプルバックの反転、パターンブレイクと整理していたのであればもう一度見直してみて、失敗ブレイクからのトレードパターンがなかったか確認してみることをお勧めします。

そうすると、より理想的な仕掛けタイミングが特定できたり、過去に見送りと判断した足が仕掛け足になりうると判断できるようになるかもしれません。

仕掛け足が見つけられるようになったら、今度は動きの中でそれらを認識できるか検証を行う必要があります。

ブローカーに資産を投じてリアルタイムチャートで検証するのは絶対ダメとは言いませんが、私はお勧めしません。

5分足トレードですら、1日に1回ないしは数回あるかどうかというトレードチャンス待つのは非常に効率が悪いですし、気がつけばどうでもいい足で仕掛けていたり……と逆にスキルの悪化を招きかねないと考えているからです。

より最短で効率よくスキルをアップするために、Forex Testerなどの検証ソフトを用いてトレーニングを行うのが最善です。

Forex Tester 2 で検証を行っているときの画面キャプチャ

Forex Testerを使えば、1時間の間に10回でも20回でも仕掛ける練習ができるため(しかも同じパターンを何回も練習できる)、より効率的に上達が図れます。

リアルタイムチャートだけでトレーニングしてだいぶん上達したが、気がつけば後期高齢者になっていた……なんてオチにならないよう、私は検証ソフトでの検証を推奨します。

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