私は99%自宅のパソコンでトレードや分析を行っているのですが、外出先(家以外の環境)でもトレードをしようと思ったらどれくらいのネット環境を整えるべきなのかを知りたく、調べてみました。
というのも、スマホ1台あれば一応大丈夫……と思っていたのですが、昨年(2018年12月6日)にソフトバンク回線が長時間使えないというようなアクシデントが実際起きました。
「外出先で本格的なトレード」をするにあたって安定したネット環境を持とうと思ったら、大手キャリアオンリーだとリスキーかもと感じられた方も多いかと思います。
そこで、本記事では外出先でも安心してトレードを行うためのネット環境についての調査結果を公開します。
ついで、と言ってはアレですが、仕事柄格安SIMやモバイルWi-Fiルーター(通称:ポケットWi-Fi)に関する知識がついてしまったので、あわせてオススメのプロバイダを紹介します。
「外出先でトレード」に必要な通信速度環境
まず、通信環境の中で最も議題に挙がりそうな「通信速度」について考えてみます。
結論から書くと、実はそれほど超高速である必要はないということが分かりました。
もちろん低速すぎる(時々途切れたりする)のは問題ですが、100Mbpsはおろか10Mbpsといった通信速度があったところで意味がないということは断言できます。
意外と少ないトレードの通信量
実はトレードで使う通信容量は案外少ないです。
営業日はほぼ毎日PCでMT4とJForex(デューカスコピー・ジャパンのアプリ)を起動したまま放置している私でさえ、過去30日の通信量の合計は約2GBしか使用してなかったことからも通信量の少なさは伺えます。
Windows 10の設定で確認できる、過去30日の通信量の接続状況。MT4(terminal.exe)が1.12GB、JForexが835MBなので、合わせると約2GBとなる。
思ったより通信量が少ないということは、単位時間あたりでやりとりする通信量も少ないということになります。
つまり、通信速度に関して大手キャリアクラスの高速通信は必要がないということも分かります。
通信量から伺える平均受信速度
1画面に4銘柄、左側には各種通貨ペアのレートがひっきりなしに更新されているが、それでも通信量は微量
上記の通信量から、1時間あたりの通信容量をざっくりと試算してみます。
30日のうち20日間、平均12時間起動していたとすると240時間起動していたことになります。
MT4の通信量1.12GB(1120MB)を240で割ると0.0046GBとなるため、1時間あたり4.6MBしか消費してない計算になります。
これを通信速度に換算すると平均1.30KB/秒です。仮に起動時間が半分(例:月10日、1日12時間起動)だったとしても2.6KB/秒、4分の1(例:月10日、1日6時間起動)だったとしても5.2KB/秒となります。
※容量の単位の感覚が分からない方の参考までに、↑のWindows 10のスクリーンショット画像が25.2KBです。
外出先でのトレードに必要な通信速度環境結論
以上の結果から、以下の結論が得られました:
- 通信速度は速いに越したことはないが、1Mbpsも出れば十分(1Mbps=125KB/s)
⇒格安SIMでも基本対応可能 - 1ヶ月で使う通信容量は通信制限を気にするレベルではない
⇒FXのために通信容量プランを増やす必要はない
外出先でネットに繋ぐ方法5選
外出先でネットに接続する方法と各特徴をざっくりと評価すると(良い評価から順に◎、◯、△、×)、以下のようになります:
接続方法 | コスト | 利便性 | 安全性 | 速度 |
---|---|---|---|---|
大手キャリア (SIM) |
△ | ◯ | ◯ | ◯ |
格安SIM | ◎ | ◯ | ◯ | △ |
無料Wi-Fiスポット | ◎ | △ | × | △ |
有料Wi-Fiスポット | ◎ | △ | ◯ | △ |
モバイルWi-Fi | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
※利便性:いつでもどこでも繋げられるかどうか
SIM(大手キャリアと格安SIM)
大手キャリア(docomo, au, SoftBank)と格安SIMはもはや説明不要かと思いますが、会社(プロバイダ)と契約してスマートフォンにSIMカードを挿すことでネットに接続する方法です。
大手キャリアユーザーの方は「SIM…?」と思われるかもしれませんが、契約時に携帯店員が端末内に挿しているため、SIMの存在を知らなくても問題ありません。
基本的には大手キャリアか格安SIMのどちらかさえ契約していれば、よほどの僻地に行かない限りいつでもどこでも(スマホで)ネットが使えますし、テザリングを使えばスマホ経由でPCでのネットも可能です。
最近次々と値下げを発表している大手キャリアですが、現状月額7,000円程度かかるのが実情です。
一方格安SIMだと月3GBで月額1,600円が相場のため、経済的にコストカットが可能です。
もしトレードのために大手キャリアから格安SIMに乗り換えを躊躇されていた方は、先程の通信速度面の結論より、気にせず格安SIMに乗り換えても良いと考えます。
ちなみにですが……私自身は現在格安SIMを契約中です。たまに外出先でスマホでMT4のチャートを見ますが、自宅での20Mbpsの通信環境(無線LAN)の中で見るMT4のチャートと違和感ない表示がなされていると感じます。
情報をダウンロードしてから、画面に反映するまでの処理に時間がかかっていると考えられます。
大手キャリア、格安SIMの問題点
大手キャリアおよび格安SIMでの問題点は、本記事の冒頭でも挙げた「接続障害時に対応不可」となる点です。
「少額トレードをしている」、「長期的なスイングトレードしかしてない」という場合ならはリスクとなる確率は無視できるレベルかもしれません。
しかし「スキャルピングでそれなりのロット数を積んでトレードしている」という場合、たった1回の回避不能なアクシデントが致命的な結果を生み出す可能性があります。
また、単純に電波環境の関係で繋がりが悪く、約定して逆指値を設定する前にネットが途切れたりした際に非常にリスキーです。
なにかもう1つ別のネット接続環境がある中でのトレードが望まれます。
Wi-Fiスポット(有料/無料)
観光トイレがWi-Fiスポット、なんてことも……(奈良県橿原市、天香久山・無料駐車場)
コンビニ、喫茶店、公共機関などでは、有料ないしは無料でインターネットに接続できる環境を提供しています。
Wi-Fiスポット例として以下のような店舗が挙げられます。わりと全国にある店舗ばかりです:
無料または有料のWi-Fiスポットを提供している店舗例
コンビニ | ・セブンイレブン ・ファミリーマート ・ローソン ・セイコーマート etc. |
---|---|
喫茶店 | ・スターバックス ・タリーズコーヒー ・ドトールコーヒー ・コメダ珈琲 etc. |
その他店舗 | ・マクドナルド ・モスバーガー ・デニーズ ・ロッテリア etc. |
無料Wi-Fiスポットの最大のメリットはその名の通り無料で使えるという点です。スマホまたはタブレットさえあれば無料でネットができます。
その反面、無料Wi-Fiの最大の問題点がセキュリティ性が皆無(危険)という点です。
無料Wi-Fiスポットは、その手に詳しいクラッカー(ハッカー)が本気を出したら、利用中のユーザーの個人情報は簡単に盗むことができると考えられます。
ただでさえお金を扱うような取引を行うにも関わらず、無料Wi-Fiスポットを使うのは非常に危険なためオススメできません。
最悪アカウント情報などを盗み取られて残高を全部取られたり……なんていうリスクも浮かびます(登録者以外の口座に出金を指示したらマネーロンダリングの疑いがかかって出金を止めてくれるとは思いますが……)。
有料Wi-Fiスポットは、無料スポットのデメリットを解消
有料Wi-Fiスポットの例(Secured Wi-Fi, DoSPOT)
一方有料Wi-Fiスポットについてですが、無料Wi-Fiスポットの問題であるセキュリティ問題も(基本)対応しており、トレード環境として使うのはありだと考えます。
場所によって通信速度は様々であるものの、(スポットにもよりますが)容量無制限かつ接続可能時間無制限と十分すぎる環境を提供しています。
欠点を挙げるとすれば、当たり前ですがスポットに行かないとネットが使えないという点です。
「いつでも」は満たせますが「どこでも」は満たせないため、「家以外の取引・分析環境」として使うにとどまります。
有料Wi-Fiスポットは、携帯各社(格安SIM含む)のオプションとして加入できたりするため、一度チェックしてみることをオススメします。
実質無料で有料Wi-Fiスポットが利用できる格安SIM例
OCNモバイルONEは、Secured Wi-FiとDoSPOTという2つのWi-Fiスポットにて上記の無制限・高セキュリティ環境を使うことができます。
しかもオプション加入が無料なので、格安SIMとしての月額料金を払っていれば(SIMカードを挿している端末は)無条件でDoSPOTが使えるという点でオススメです。
回線はドコモ回線(docomoと同じ回線を使用)、月額1,600円~(110MB/日プラン)で使えるため、大手キャリアから乗り換えるだけでも一気に携帯代が節約できるかと思います。
BIGLOBEモバイルについても、契約プランが月6GB以上のプランであれば(SIMカードを挿している端末は)Secured Wi-FiとDoSPOTが無料で使えます。
回線はドコモとauの2回線から選択でき、6GB/月プランで月額2,150円で利用できます。
モバイルWi-Fi
モバイルWi-Fiは通称ポケットWi-Fiとも呼ばれる、持ち運びのできるWi-Fiルーターのことです。
テレビコマーシャルでよく見かける”WiMAX”などがこれに当たります。
通常時で40Mbps程度、場所によっては100Mbpsを超えるとも言われる通信速度が出るとも言われており、スペックとしては申し分ないものを持っています。
メジャーな月額料金は容量無制限で月額3000~4000円程度、月7GBなら月3000円程度となっており、「大手キャリアよりは安い程度」という印象です。
ソフトバンク系とau系の違い
モバイルWi-Fi市場を席巻しているのは、いわゆるソフトバンク系(ワイモバイル)の「ポケットWi-Fi」と、KDDI(≒au系)の「WiMAX」の2ブランドです。
この2ブランドの特徴を比較すると一長一短となっており、
- 建物内部、地下での通信が強い
- 他の電波が干渉すると繋がりにくくなる
- 他の電波の干渉に強い
- 建物内部、地下では繋がりにくい
と言われています。
しかもこれを言っているのがWiMAXサイドの人間ではなくポケットWi-Fi(ワイモバイル)サイドの店員だったのが興味深いです。
また、通信可能エリアに関しては都市部以外はやや非対応地域が多いWiMAXに対し、ポケットWi-Fiは地方のカバーも広いというデータがあります。
トレード的観点で評価をするなら、カバー率が広いポケットWi-Fi系のほうが良いといえそうです。
最近登場した第三の選択肢「クラウドSIM」
今まではソフトバンク系の回線かKDDI(au)系の回線かのほぼ2択だったのですが、最近は第三の選択肢として「docomo, au, SoftBank全部使える」というモバイルWi-Fiルーターが登場しています。
要は、ルーター1台持ってるだけで3つの回線を契約しているに等しい状態になれます。
細かい説明は省きますが、「クラウドSIM」という技術によって実現しています。
一見料金は高そうに感じる機能を有していますが、WiMAXやポケットWi-Fiと変わらず月額3,000円台となっています。
トレードのためのネット環境構成例
以上をふまえて、外出先でトレードをする際の理想環境を提案します。
案1:格安SIM + 有料Wi-Fiスポット
利便性:★(Wi-Fiスポットに限定)
コスト:★★★(最安月額1,400円)
安定度:★
別に大手キャリアでも問題ないですが、コスト面から考えると格安SIMのほうが最適です(以下の案についても同様)。
有料Wi-Fiスポットは、契約しているだけで無料で使える格安SIMプロバイダを利用すれば、実質無料です。
場所が限定されるというデメリットがありますが、有料Wi-Fiスポットの1つであるSecured Wi-Fiは全国で約50,000スポットはあるため、街に繰り出せば高確率で見つかります。
税込でも最安1,512円(通話機能付きのSIM)と実に格安な案です。
案2:格安SIM(docomo回線 or SoftBank回線) + WiMAX
利便性:★★
コスト:★(最安月額約4,000円)
安定度:★★
格安SIMとWiMAX回線のWi-Fiルーターを持ち歩く方法です。
コストは案1より増えますが、基本に場所を問わず常に複数のネット環境を保持することができます。
SIM側の回線をdocomoかSoftBankに限定しているのは、本元(KDDI)が何らかの障害を抱えたときにau回線とWiMAX回線が共倒れになって結局ネットできない……となるリスクを無くすためです。
案3:格安SIM(docomo回線 or au回線) + ポケットWi-Fi
利便性:★★
コスト:★(最安月額約4,000円)
安定度:★★
案2と同様、SIMとソフトバンク系のWi-Fiルーターのコンビです。
ルーターがソフトバンク系の回線なので、SIMはdocomo回線かau回線を持ちます。
案4:クラウドSIMのみ
利便性:★★
コスト:★★(最安月額3,400円)
安定度:★★★
端末はSIMフリーのスマホを買って、ネットはクラウドSIMを利用するという方法です(別にSIMフリースマホでなくてもいいです)。
クラウドSIM「のみ」とはいえ、3回線契約しているに等しいので安定度は抜群です。
電話回線を使った電話はできませんが(そもそも電話番号がない)、SNSアプリを使った音声通話はできます。
案5:格安SIM+クラウドSIM
利便性:★★★
コスト:★(最安月額4,600円)
安定度:★★★
現状最適解に近い案がこの格安SIM+クラウドSIMのパターンです。
コストは最も多くかかりますが、案4は電話番号がないというデメリットがあります。
実質トレードよう回線はクラウドSIMに任せて、格安SIMはあくまで電話として使うという位置づけになります。
オススメの契約先について
理想的な環境の案が出尽くしたところで、最後に私が調査した中でオススメの各プロバイダを紹介します。
早い話、各案に対して私ならこのどれかに契約するというリストです。
だいたいの質問にはお答えできると思います。FXと違って基本的に質問に対する「正解」があるのがいいですね(笑)。
格安SIM
格安SIMでオススメするのは以下の3社です:
プロバイダ | 特徴 |
---|---|
OCN モバイル ONE |
|
BIGLOBEモバイル |
|
LINEモバイル |
|
これら3社は背景に大手キャリアが絡んでいるため(※OCNモバイルONE:NTT、BIGLOBEモバイル:KDDI、LINEモバイル:SoftBank)、良くも悪くも経営基盤が固く、安心なプロバイダです。
有料Wi-Fiスポットが無条件で無料で使えるということでOCNモバイルONEがオススメです。OCNモバイルONEに契約するだけで案1を満たせます。
また、OCNモバイルONEはSIMフリースマホとセット購入で契約する「スマホセット」が非常にお得です(スマホを超格安で購入可能)。
WiMAX
WiMAXは基本的にどこのプロバイダも供給するものは変わらないため、単純に値段で選ぶのがコツです(あと大手であること)。
WiMAXの本元はUQ WiMAXですが、本元は普通に高いのでオススメしません。プロバイダ(代理店)と契約することをオススメします。
毎月のようにキャンペーン内容が変わるため常に最安ランキングが変動するのですが、現状(2019年6月時点)で安いプロバイダは以下の3社です(大手10社で比較しています):
プロバイダ | 特徴 |
---|---|
GMOとくとくBB |
|
BroadWiMAX |
|
カシモWiMAX |
|
※「実質月額」は、初期費用も含む契約から次の契約更新月まで使用した場合の総額を月割したもの(契約更新月は解約金ゼロ)
WiMAXプロバイダの多くが「1ヶ月目は◯◯円、2ヶ月目から△△円」と、月や年が変わるたびに月額料金を変えてくるので(一番安い月額を「月額◯◯円~」と広告表示させるのが目的)、見た目に騙されないよう注意が必要です。
現状最安はGMOとくとくBBです。なお、仮に5000円のキャッシュバックを申請し損ねても最安です(30000円以上のほうは申請しそこねると悲劇)。
下記専用バナーよりアクセスすると5000円キャッシュバックの特別プランのページに移動できます(表向きは30000円以上のキャッシュバックプランだけが表示されている模様)。
Wi-Fiルーターに関しては基本どれを選んでも問題ないですが、ホームルーターだけはNGです(持ち運べない)。
あと、HUAWEI社の世界的な取締が強化されていることもあるので、リスクを避けるならHUAWEI社でないWi-Fiルーターを選ぶのが無難かもしれません。
結構な人が申請しそこねているのが実情です(SNS等で悲痛なツイートが散見される)。
キャッシュバックプランを選択される際は申請し忘れにご注意ください。
ポケットWi-Fi
ポケットWi-FiもWiMAX同様、本元(ワイモバイル)は高いので基本的にプロバイダと契約するのがオススメです。
ただそのプロバイダは少なく、信用度の高い企業で絞った時点で現状1社です(詳しい方いらっしゃいましたら是非ご一報ください)。
プロバイダ | 特徴 |
---|---|
NEXTmobile |
|
※「実質月額」は、初期費用も含む契約から次の契約更新月まで使用した場合の総額を月割したもの(契約更新月は解約金ゼロ)
NEXT mobileの特長として、20GB使えて実質月3000円以内というコスパが挙げられます。
トレード以外でも外出先でネットが使えたら……とお考えの方にオススメできるプロバイダです。
またWiMAXは3年契約ですが、NEXT mobileは2年契約という点もいいと思います。2年も経てばまた新たな技術やプランが世に出ていると思いますので、2年で一旦解約して次のプロバイダを探すのが理想だと考えます。
さいごに:外でトレードするなら2種類以上のネット環境は欲しい
基本的にトレードは自宅のパソコンで行うものだと私は考えていますが、最近は小型電子機器(スマホ)の機能向上やWeb回線の発達によって、いつでもどこでもトレードが行えるようになりました。
今後はスマホで場所を選ばずトレードをする時代が主流になるかもしれません。
トレードの勝敗の決め手は当然トレードスキルやメンタルだとは思いますが、今回取り上げたようなネット環境などの構築もトレードの勝敗に大きく関わる非常に重要な要素と考えます。
ネット環境が整ってないとトレードが不利になってしまうのは言うまでもなく、ネット環境が整ってないというのは戦う土俵にすら立ててないと言っても過言ではないかもしれません。
今回記事の作成にあたり、通信速度こそそれほど求める必要はないことが分かりましたが、外出先でトレードをするなら接続可能な回線を常に2種類以上持っておきたいと考えます。
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