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アル・ブルックス本における「セットアップ」の意味とパターンについて

ブルックス・ボルマン本用語

ブルックス本ではセットアップ(setup)の意味が用語集に記載されていますが、その意味に関しては一般で用いられる「セットアップ」と対して変わらないと考えます(一般でセットアップという単語を使う機会は少ないかもしれませんが)。

記事作成にあたり一度本を読み直してみたところ、私が勉強していく中でイメージしていた「セットアップ」と少し異なっていたところがあったため、定義の復習を兼ねて本記事でまとめたいと思います。

本を読み進める上で理解しておくという点で参考にしていただければ幸いです。

 本記事は、ブルックス本(プライスアクショントレード入門、プライスアクションとローソク足の法則)の内容から得たものに対する、FXプライスアクション研究所独自の解釈が含まれています。
 アル・ブルックス氏本人による分析、トレード手法を学びたい方は、書籍をご確認ください。
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セットアップ 概要

プライスアクショントレード入門におけるセットアップの概要は以下のとおりです:

1本以上の足で形成されるパターンで、仕掛けの注文を出すもととなる。
もし仕掛けの注文が執行されると、セットアップの最後の足がシグナル足になる。
セットアップの多くは1本の足でできている

アル・ブルックス著 井田京子 訳, プライスアクショントレード入門 用語集より p.569

1本以上の足で形成されるパターンもあるものの、大半は1本と記されています。

一方、仕掛け足のすぐ前(≒1本前)の足である「シグナル足」の定義には、「セットアップの最後の足」と記載されています。

……ということは、大半のセットアップ足は、セットアップ=セットアップ足(1本)=シグナル足ということになります。

なお、後発として出版された「ローソク足の法則」ではセットアップの説明文が多少変わっており、「1本以上」が「1~2本」になっていますが、多くは1本の足でできているという部分に関しては不変です。

1本で形成されるセットアップの典型例

展開(トレンド)等は深く考えないこととして、1本で形成されるセットアップとしてよく言われるパターンは以下のようなパターンが挙げられます:

反転足

反転足は最も典型的な1本で形成されるセットアップの例といえます。

その反転足1本の中でブル派ベア派力の勢力図が入れ替わったことを示しています。

反転足が引けて新しい足が寄り付いたら、反転足の安値の下に新規の逆指値注文を入れるのがブルックス的手法です(売る場合)。

注文が入ったら、反転足がセットアップ足かつシグナル足となります。

ミクロダブルトップ・ミクロダブルボトム

ミクロダブルトップミクロダブルボトムは特にブレイクアウトやトレンドの強い展開時に発生しやすい足の形成パターンです。

1本目が引けた時点ではセットアップとはいえませんが(レッグの終わりを告げるような足)、2本目がヒゲの小さいダブルトップまたはダブルボトムをトレンド方向側に形成するとセットアップとなります。

ミクロダブルトップは高値を上抜けた時点、ミクロダブルボトムは安値を下抜けた時点で仕掛けます(逆指値注文を入れておく)。

「これらは2本以上で形成されたセットアップでないのか?」と思えなくもないかもしれません。

ただ個人的見解としては「どちらでもよいのでは?」というのが本音で、2本目の足がシグナル足で3本目の足が仕掛け足という点さえ共通認識できていれば問題ないと考えています。

(三川)宵の明星、明けの明星

宵の明星は、大陽線のあとに実体の小さい足が続き、その後カウンター方向への流れ(大陰線)が続くパターンです。

明けの明星はその逆です。

2本目の足がヒゲの長い反転足なら、なおトレンド反転の展開が期待できます。

これらの2本目の足は明けの明星の3本パターンを構成するためのセットアップ足といえます。

3本目の足の安値が1本前の足の安値を下抜いたタイミングで仕掛けます。

oio(包み足→孕み足→包み足)

比較的スキャルピングで用いられている印象のあるoioの仕掛けパターンも、1本で形成されるセットアップ例のひとつです。

2本以上で形成されるセットアップ

セットアップが2本以上に及ぶパターンは、1本目のセットアップ足が形成されたあとに「高値を上抜いたら(安値下抜いたら)仕掛けよう」と思っていたものの仕掛けが執行されなかった場合に形成されることが多いと考えます。

仕掛けが執行されず、しかしながら条件を満たしたら仕掛ける予定という「仕掛けの持ち越し」が、2本以上のセットアップを形成する要因となっています。

2本以上で構成されるセットアップ例として、以下のものが挙げられます(下図):

ii(連続する孕み足パターン)

上側の例は、2本目までは三川宵の明星と同じパターンです。よって2本目の上影陰線がセットアップ足の1本目となります。

セットアップ足の安値を下抜けたら売りを仕掛けるつもりで逆指値注文をいれたものの下抜けず、陽線の孕み足で引けてしまっています。

それでもまだ売りを仕掛ける条件が整っていると考える場合、陽線孕み足もセットアップ足となります。

例では2本連続で孕み足が続き(陽線→陰線)、実際に仕掛けが執行されたのは1本目のセットアップ足から3本後の足となりました。

この場合セットアップは3本で形成されており、3本目の陰線孕み足がシグナル足となります。


下側の例は、サポートラインに対するダマシの安値(F)からの反転上昇を期待して、仕掛けることを仮定した場合のセットアップです。

高値を上抜いたら仕掛けるつもりで執行を待っていましたが、結局仕掛け足はダマシの足が形成されてから3本後となっています。

この例でもセットアップは3本構成となっています。

ビルドアップ

ビルドアップは、ボルマン本(FX 5分足スキャルピング)にて記載されている、パターンブレイク前に生じやすいとされるセットアップパターンです。

このビルドアップは、典型的な2本以上で構成されるセットアップパターンといえます。

トレンドライン近辺で値動きが収まってからブレイクするまでの数本の足がセットアップ足に相当します。

だいたい3本以上7本以下で形成される印象です(5分足の場合)。

どの足で仕掛けるか、どのタイミングで仕掛けるかは要検証ですが、トレンド方向へのブレイクに対するビルドアップは、仕掛けパターンとして抑えておきたいパターンです。

例外的なセットアップとシグナル足パターン

ブルックス本では、セットアップの最後の足がシグナル足で、仕掛け足の1本前の足がシグナル足と定義されていますが、中には例外も存在するようです。

トレード入門p.163にて記載されている「図4.1 典型的な買いのシグナル足」では、ある足をセットアップ足でシグナル足で仕掛け足と定義しています。

上図はトレード入門図4.1のイメージ図です。

全体の流れとしては、下降トレンドにおけるパターンブレイクプルバックの買いの仕掛けを示しています。

問題となるセットアップ足は、序盤で大きく下落した後反転したことから下ヒゲの長い足を形成しています。

この時点でこの足がセットアップ足として機能すると考えられますが、そのまま1本前の足の高値をも超えてしまい、仕掛け足にもなっています

このような場合、仕掛け足の1本前の陰線が「実はセットアップ足だった」とならず、下影陽線が「セットアップ足兼仕掛け足、よってシグナル足でもある」と本にて説明しています。

さいごに

私個人の意見としては、「このセットアップは2本構成なのか1本のみなのか」などはわりとどうでもいいと思っています。

本を読み進めるために、彼の言葉の表現のニュアンスが理解できればそれで良いという解釈です。


実問題は、セットアップ足に該当する足を見つけられるかどうかだと思っています。

相場の流れの中でセットアップが見つからないうちは、トレードを仕掛けるに値しない(仕掛けてはいけない)相場であるということになります。

「セットアップが見つからない」という言葉は、相場のトレンドが弱いから見つからないという意味だけでなく、トレードスキル的な問題で見つけられないという意味も含まれます。

トレードスキルに関しては、王道のパターンを覚えて、完成されたチャートから仕掛けられそうな足を多数見つけるトレーニングをして、そしてForex Tester等検証ソフトを用いて研鑽することで上達が見込めます。

また、はじめのうちは例外的なパターンは捨てて、買うなら陽線が、売るなら陰線がセットアップ足になっているパターンを優先的に検証することが、スキルアップのポイントになると考えます。

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