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相場(FX)におけるエリオット波動の基本パターンと売買戦略について

 エリオット波動は、時に「ある」とか「ない」とかその存在自体が議論の対象になったり、オカルティックに取り上げられているところも見受けられるときもあります。

 私自身はエリオット波動があるかどうかはどうでもよく、エリオット波動の「ようなもの」であろうとトレードに活かせさえすればそれでよいという考え方を持っています。

 と同時に、エリオット波動は「他の概念」と組み合わせることで、その存在意義とトレードへの活用が図れると考えています。

 本記事では、エリオット波動の基本的な概要と、エリオット波動と他の概念を組み合わせた上でのトレード戦略の大枠について考察しています。

 特にスイングトレードを行いたい方にとって参考になりましたら幸いです。

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エリオット波動の基本波動パターン

 エリオット波動は、一般には上昇5波と調整3波で構成される「上昇エリオット波動」のことを呼んでいることが多いですが、上昇とは逆の下降5波と調整3波で構成される「下降エリオット波動」も存在するとされています。

 この2つの波動について説明します。

上昇エリオット波動

 上図が上昇エリオット波動の典型例です。

 1波~5波までの上昇(推進)と下降(調整)の繰り返しを上昇五波、そのあとのabc(いろいろな表記方法がありますが、当サイトではa, b, cとします)の波動を調整三波と呼んでいます。

 波を2種類に分けると、下図のように構成されます(緑:上昇五波赤:調整三波)。

下降エリオット波動

 上図は、上昇エリオット波動とは真逆である下降エリオット波動の典型例です。

 1波~5波までの下降(推進)と上昇(調整)の繰り返しが下降五波、そのあとのabcの波動を調整三波と呼んでいます。

 波を2種類に分けると下図のように構成されます(赤:下降五波緑:調整三波)。

最も「エリオット波動」を個人的に感じた実際のチャート例

EURAUD 日足(2017年)

 一見ただ上昇しているだけに見えますが、以下のようにイメージすると上昇エリオット波動が見受けられます。

 調整1波が始まったあたりから意識し始め、調整1波目と3波目がほぼ同じくらいの推進幅である点が印象的でした。

 これくらい美しい例が毎回登場するとは限りませんが、見ているチャートのどこかでエリオット波動の存在を確認することができます。

エリオット波動の基本的特徴

 エリオット波動を相場から描く際にはいろいろとルールがあるようですが、その中でも特に重要だと思う箇所についてのみ挙げたいと思います。

 その他特徴はWEB検索すると見つけられると思いますが、眉唾ものの内容も多いような気がするので、検索の際はお気をつけください(このサイトの内容も自称「エリオット波動専門家」が見たらそう感じるかもしれない)。

第3波が一番長い

 エリオット波動における一番の特徴が、第1波から5波の中で第3波が(期間と値幅を結んだ直線が)最も長いと言われていることです。

 時折長い第5波が見られるときもありますが、それでも一般には第3波が一番長いと言われています。

 そのため、上昇五波の各終点を示し合わせたときに第1波が一番長い場合、エリオット波動の始点が間違っていると考えられます。

第4波の安値が第2波の安値を下回らない

 上昇エリオット波動の場合、第4波の安値が第2波の安値を下回るようなパターンはエリオット波動として認められないというルールがあります。

 つまり、第4波までは「高値切り上がり、安値切り上がり」が基本原則となります。

調整波の終了に合わせて新たなエリオット波動が始まる

 調整の3波目であるcの波動から再び上昇第1波へと移り、新たな上昇エリオット波動を描きます

 第3波の途中で突然上昇エリオット波動が下降エリオット波動に変わるというようなことはなく、考える必要はありません。

推進波の終了時に逆方向のエリオット波動が始動する?

 第3波の途中でエリオット波動が変わることはないと書きましたが、時折、第5波完了後に調整1波(a波)でなく下降エリオット波動の第1波が始まったと解釈しないと、以降の波動を説明しきれないと感じるパターンが個人的に見受けられます。

 世界的にどう解釈されているかはわかりませんが、「第5波終了→逆方向の第1波スタート」の可能性だけは頭の片隅に入れておいてもいいのではないかと考えています。

※この考え方は純粋なエリオット波動論者にとっては「邪道」である可能性があるのでその点ご承知おき願います。

下位時間足、上位時間足にもエリオット波動が存在する(フラクタル)

 あなたがある時間足を対象に想定した上昇エリオット波動について、その上位時間足チャート(例えば1時間足を見ていたならば4時間足など)を見ると上昇エリオット波動の一部であるということがわかると思います。

 上図は、上昇エリオット波動1個分が上位時間足で見ると第1波と第2波である例です。

 そして、上図はある時間足における1つのエリオット波動が、下位時間足ではエリオット波動4個分に相当していることを示した例です。

 かならず下位時間足4個分とは決まっておらず、場合によっては3個であったり5個であったりすることもあるかもしれません。

エリオット波動のパターン

 上図は理論的に描かれる、基本的かつ理想的なエリオット波動のパターンですが、類似形もよくマーケットで見受けられます。

 この項では個人的にではありますが、エリオット波動として認められるようなパターンを3例説明します。

※基本的に上昇エリオット波動で説明しますが、下降エリオット波動でも同様のパターンが見受けられます。

第3波と第5波の高値が揃っているパターン

 第3波でつけた高値を第5波で到達した直後に下落するパターンです。

 場合によっては厳密には到達していないというようなこともあるかもしれませんが、それでも第5波として認めればエリオット波動が成り立つ場合があります。

第4波以降がレンジになっているパターン

 第3波と第5波の高値が揃っているだけでなく、以降の調整三波も比較的揃っているパターンです。

第4波以降がウェッジになるパターン

 これをエリオット波動と認めるのは難しいですが、上図のような例もあります。

 「エリオット波動は幻想」、「エリオット波動を考えたところで無駄」と考える人が多く見受けられるのは、これらのような波動も全てエリオット波動で説明づけようとするからかもしれません。

エリオット波動を知らなくてもトレードは成り立つ

 以上比較的見られる3例を紹介しましたが、結局の所、エリオット波動を知らなくてもその他パターンを知っていることで相場をパターン化し、トレードを図ることは可能です。

 ただ、エリオット波動まで覚えておくと、実質調整1波の中で仕掛け・利確が完結していたトレードが、その先にある調整3波まで見越せるようになり、より大きな波をとらえることで利益を伸ばすことができる…という可能性を秘めていると考えます。

エリオット波動とその他波動の関係

 完成されたチャートからエリオット波動を描くことは簡単ですが、エリオット波動が形成されていく過程を現在進行系で想定することは難しいかもしれません。

 しかし、頻出するその他の波動と組み合わせて考えると、波動のスタートや終了のタイミングを掴むことができると考えます。

 この項では、エリオット波動と結びつきが深いと考えられる波動と、その関係について説明します。

エリオット波動とダブルトップ(ダブルボトム)

 上の項でも挙げましたが、第3波と第5波の高値が揃った形がダブルトップとなり、第5波から調整1波に移る際にダブルトップにおけるトレード戦略が成立する可能性が考えられます。

 ただし、調整1波での仕掛けは長期的な目線で見ると逆張りになるため、下位時間足でタイミングを図り仕掛ける形が基本になります。

 また上図の場合では、ネックラインまでプルバックした調整2波のあとの3波目(c波)で売りを仕掛けられるかもしれません。

 下降エリオット波動の場合、ダブルトップでなくダブルボトムとして同型のパターンが考えられます。

エリオット波動とチャネル

 上図は説明のため、だいぶん都合よく波動を引いてますが、推進波と調整1波まではチャネルを形成し、チャネル内を推移しているパターンはよく見受けられます。

 上図では調整1波目(a波動)でパターンブレイクし、調整3波目(c波)でパターンブレイクプルバックをしていますが、この場合だと、c波はエリオット波動をあわせて考えると比較的狙いやすいパターンに見えます。

エリオット波動とウェッジ

 これも上の項で説明していますが、推進4波以降がレンジとなり、ウェッジを形成するパターンです。

 このあと調整のc波が下方にブレイクしてもう少し継続するのか、ブレイクがダマシになったのを機に上昇エリオット波動が始まるのかは言及できませんが、これをエリオット波動と認識するのは相当難易度が高いのは間違いないと思います(あまり触れないほうが良さそう)。

 「サイクル投資法マスターブック」でも「保ち合いからの離れ」として、エリオット波動を組み合わせた似たような記述がなされています。

エリオット波動におけるトレード戦略

 以下に説明する内容はあくまで「理想論」であり、その理想を現実するための手法は別途考える必要があります

 ただ、エリオット波動が存在するという仮定でチャートを見た時、以下のような内容でトレードをすることは十分に実現可能だと考えています。

 私自身はエリオット波動を強く意識してトレードを行っているわけではありませんが、検証等を行ってうまくいってる状態が継続しているときは、よく見ると以下のパターンでエントリーとイグジットが出来ていることが多いと感じます。

狙い目は「3波」

 エリオット波動を環境認識手法として考える場合、狙うべきは第3波です。

 具体的には、第2波から第3波へと移るタイミングを見極めて仕掛けます

推進の3波で仕掛け、調整1波スタートで決済する

 第3波スタートで仕掛けたポジションは第3波内で完結させず第5波終了まで確認してから利確するのが理想と考えます。

 エリオット波動を前提としてスイングするのであれば、当然第5波の存在があることを想定しているはずですし、上昇4波の押しが始まったところで第5波の存在を疑う(「もしかしたらさっきの高値が天井なのでは?」と思う)のはナンセンスです

 第3波の終了(第4波のスタート)を確認したときに一部利確、調整1波のスタートの可能性が見受けられた時に残りを利確できれば理想的です(第5波終了で一発利確できるのが究極の理想ではあるが、それを目指すのはなかなか難しい)。

調整の3波目(c)で売り、推進の1波か3波で決済する

 推進波だけでなく、調整の3波目(cの波動)も同様に狙えます。

 調整1波と同等程度の波動が続くことを期待し、N波動(ポール・フラッグ・スイング、ABC調整)の達成で一部利確、そして推進の1波や3波目がスタートしたかもしれないと判断できる箇所で残りを決済するようなトレードが狙えます。

 推進3波の開始でドテンできればなお理想的です(売りポジション利食いの根拠は、同時に買いポジションの仕掛けの根拠である…場合もある)。

推進3波目まで利確を待つ理由

 冒頭の基本的な特徴でも述べましたが、第5波終了と同時に逆方向への推進波が始まるケースがたまに見受けられるためです。

 上昇五波終了後は調整三波があるのがエリオット波動の基本ですが、そうではなく下降エリオット波動の推進波(≒下降五波)が始まったとするならば第1波と思った波は下降4波目(≒調整の戻し)となり、そのあとの第5波が第3波の安値を切り下げてくる展開が期待できます(下図の赤点線)。

 そのようなパターンにも対応するには、調整三波完了と思ったところで全部利確するのではなく、第3波がスタートするタイミングまでは保持することが方法論として考えられます(もちろん全部利確するのは悪い戦略ではない)。

 あともう一つ理由を挙げると、上昇2波の押しが調整三波のc波動の安値近辺まで来る可能性も十分にあるからです(こちらのほうが、純粋なエリオット波動論者にとっては納得がいく理由かもしれない)。

 どのような手法が最善かはForex Tester等で各自検証を行い、「こうやれば長期的に勝てる」と確信したものを採用して頂ければと思います。

まとめ

 以上エリオット波動の概要と基本戦略について説明しましたが、大事なのは相場からエリオット波動を見つけることでなく相場から利益を生み出すことであることを忘れてはいけません。

 私達トレーダーからすれば、エリオット波動があろうとなかろうとどうでも良く、大事なのはエリオット波動という概念を考慮することでトレード手法がプラスに働くかどうかです。

 様々な場所でエリオット波動に対する存在そのものの議論がなされているところをどこかで見たことがあるかもしれませんが、私達はそんな議論は無視してトレードに活かすことだけを考えたほうがいいと思います。

 エリオット波動は環境認識の手法の1つであり、エリオット波動の理論だけでトレードを行おうとするのはなかなか難しいと思います。

 エリオット波動とブルックス本的思考は結構相関があると思いその相関部分についてある程度記述したつもりですが、より詳細に「ブルックス本的思考」を学びたい方は、是非プライスアクショントレード入門をご確認ください。

「エリオット波動研究所」があるらしい

 私のサイトはあくまでプライスアクションを主体としたサイトですが、世の中にはエリオット波動の分析を主体としたエリオット波動研究所一般社団法人)という団体も存在するようです。

 エリオット波動の研究をまとめた本も出版(下記)しており、エリオット波動についてもっと深く学びたいという方はこちらの本も合わせて読んで勉強するといいかもしれません。

エリオット波動と「サイクル理論」

 本記事では書ききれなかったのですが、エリオット波動はサイクル理論とも相関が高いと考えています。

 具体的な内容について書こうと思うとかなり長くなりそうなため、後日別記事で作成したいと思います。

 例として、序盤(その1)で示したEURAUDの日足チャートについて、サイクル分析をすると下図のような形になります。

エリオット波動も組み合わせると、下図のようになります:

  • 第1波、第3波、第5波、調整2波の高値がメジャーサイクルのトップとなっている
  • 第2波、第4波、調整1波の安値が全てメジャーサイクルボトムとなっている
  • 第5波がプライマリーサイクルのトップを形成している
  • 日足レベルの上昇エリオット波動1個がプライマリーサイクル1個分として完結した

 以上のようなことが重なったことも、エリオット波動の存在を感じさせた要因だったかもしれません。

 まあ、毎回毎回こう理想的ではないのですが…。

 なお、「サイクル投資法マスターブック」にもサイクル理論とエリオット波動との相関について言及されていますので(pp.258~)、興味がある方はご確認ください。


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